(閑話休題)
ここの歌は、1979年です。この詩の作詞作曲者のアマンダ・マクブルームは1947年生まれの米国のシンガーソングライターです(Wikipedia)。この詩の中で、次の部分が英語を話さない日本人には訳し方の分からない部分です。
It's the
one who won't be taken
Who cannot seem to give
よく言われる「give and take」が展開された文節ですが、使われている言葉に難しい単語はなくて、文化的にやさしい、いわば、ひらがなの英語です。Youtubeのベットミドラーがこの箇所をどんな風な振りで歌うかを見ると、その意味が分かります。英語の専門家はあまりジャズ詩を訳すのを好みません。それは、簡単な英語を訳してもほめられることはなく、しかも、思いがけずつまらない訳し損ないで、それまでの業績の被る損失を天秤にかけると、深入りしないのが賢明と言えるかもしれません。
(閑話休題2)
YouTubeにフランス語への訳詩がありました。上記の箇所を見ると、
(1)
C'est
celui qui a peur de se laisser aller,
Qui ne semble pouvoir donner,
これを英訳と和訳で見ると(Excite翻訳)
It is
the one that is afraid to leave itself/themselves to go,
That
seems to be able to give
これは、手放すことを恐れているものである
与えるように思われる、
別のものもあって、そっちを見ると、
(2)
C'est
celui, qui ne sera jamais aimé,
et qui ne peut rien offrir
これは、
It is
the one, that will never be liked,
and that
cannot offer anything
これは、愛されることはありませんものです
と何かを提供することはできません
***
(1)の方はよく和訳でも見られる解釈と思われます。同じ欧米人も解釈に迷うことがわかります。
(2)の方は、この方のプロフィールまで見ると、日本の方かも知れません。でも、こんな風に仏訳できてよいと分かります。
ところで、この歌を作ったアマンダ・マクブルームの
ホームページにこの歌のことを書いています。
それによると、ベットミドラーもこの歌の世に出る初めから、この歌に関わりがあるようです。
(閑話休題3)
ついでに言うと、詩の構成はきまりがあり、1連の4行の構成は、
図式的に表わすと、同じ構成の句の繰り返しを用い、そこに韻を踏むということも出てくるわけですが、意図的にその内の1行の文法的記述構成を変化させて、アクセントをつけます。ここでは、上記の句は、この詩の2連目にあたり、その4行の構成は、
(1句目)AなのでB
(2句目)AなのでB
(3句目)BなのはA
(4句目)AなのでB
従って、この3句目は、
(B)It's the one who won't be taken
(A)Who cannot seem to give
ということなので、(A)「与えることをしそうにない人は」(B)「受け取られることのない人」、と考えられます。
ジャズ詩も、詩として、西洋の詩の作法もあります。
これを、(3句目)も「AなのでB」とすると、
(A)It's the one who won't be taken
(B)Who cannot seem to give
(A)「取られたくない」なので、(B)「与えることをしない」、ということになりますね。
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