(閑話休題) 1930年です。コールポーターです。この歌は、見て分かる通り、発表時からラジオでの放送禁止になったりして、顰蹙を買う歌だったようです。でも、ヒットしました。リビーホルマン(1904年生まれのジャズ歌手!)でチャ−ト5位まで行きました。2014年の今、当時を思い出せるのは100歳の人!そういう、難しい曲ですが、さすがはコールポーターさん、何かありますね。
時が経ち、人の考えも少しは変わり、この歌の聞き方も、昔ほど顰蹙ものでなくてよいようです。今ならば、婚活の歌と取れなくもありません。言い過ぎ、考え過ぎかも知れませんが。
(訳詩ノート) 愛について、新しいとか古いとか、食べ物のおいしさ、天国やスリルなど、とても分かり易いですね。「本物以外」と言っているのは、しゃれであり、照れであり、はぐらかした遊びでもあります。こういうところが婚活ですね。
「ラブ フォーセール」は残しました。英語を中学生で勉強する我々には分かりますし、「アメイジンググレイス」と同様に、日本語を当てると、その意味が蒸発して、干物どころではない、何かの残骸になります。
米国人も分かってるんです、「ラブ フォーセール」って、みんなそう思ってるっていうことを。
改めて、詩のバースの部分を見ると、夜になってお店が開けられる、そういう状況設定がきちんと説明され、「そうですよね」と言うしかなくて、繁華街の眠る時刻にそっと店を開ける、昔のアメリカが偲ばれます。
(歌唱のポイント) 「ラブ フォーセール」を繰り返し、訴えかけましょう。少し照れもあるけれど、ほんとは、ピカピカで、おいしい、愛なんです。でも、言えるのは、「2階に来て」というところまで。
そういう、高揚感と抑えた気持ちの、波間に揺れる心情を歌いきります。そして、「付いて来て!」と決めます。これで、何人かの男がふらふらと足をを踏み出すことになります。
ビジネスガールのまじな駆け引きを歌ってるつもりでなくてもよいと思います。
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