1935年です。ジョージ・ガーシュインです。「ポギーとベス」というミュージカルの中の曲です。ウィキペディアでは、この歌については、黒人霊歌やウクライナのイディッシュ(Yiddish)のララバイも言及されていて、アメリカの歴史と結びついた奥行きのある歌のようです。
退屈な曲かとも思っていましたが、只者ではない遺伝子が託されていますね。曲想が、日本民謡の「南部牛追い唄」と通じるところがあります。音楽理論か日本文学の博士論文のネタにどうでしょうか。
最初の「Summertime」、これは、「サマタイム」そのままでと考えましたが、「夏には」と日本語にしました。この歌を性格づけるキーワードですが、言葉としては知らないでは済まされない、「夏」、なので、日本語でこの歌を理解するために訳しました。
そして、「草は高く...」、「cotton」を「草」にしました。「綿花」は音数がちょっと多く、また、その植物の名称、「棉」、「コットン」とかを訳し出す必要はなくて、この歌の作者のよく知る、身近な植物を表すフレーズとして訳しました。
「don't
you cry」は「泣かないで」というお願い表現ではなく、「泣かない」で止めました。「てにをは」は、1音で意味と音の数を調節できるので助かります。
最初の2連は、子守唄、後の2連は成長した子供自身を見る親、または、子供自身の歌です。3連目の高揚感、最終連、4連目の、遠くに見える雲の陰り、吹く風の気配を感じようとする大人の能力全開への期待と不安を忘れないで欲しいですね。
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(漢字かな混じり訳詩)