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KEELY SMITH IS UNDER OUR SKIN | |||||
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最近の動き ⇒キーリーの歌
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パティ・ペイジの時代 |
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私たちの彼女との仕事は、キーリー・スミスをインターネットに載せることでした。仲間の1人は、それが「スマーフ・ファミリー(Smurf family)[注:スマーフ・ファミリー:森の中のお話の世界の中の青い小人たち]と仕事をするようなものだ」と言って警告しましたが、私たちは気にしませんでした。キーリーは実際インターネットを知りませんでしたし、自分でも最近になってやっと友達のコンピュータでAOLをしてみたと言っていました。彼女はロバート・グレット(Robert Goulet)のサイト(www.robertgoulet.com)が好きでした。そして、そこが私たちとの問題の最初の所だったと思います。それは、私たちがそのサイトで働いていて、彼女のマネジメント担当者と話ををし、彼らもこちらの進め方を承認するようになって1年後のことでした。ある会議で、キーリーがベティ・ブープ(Betty Boop)のTシャツ(コナン・オブライエン(Conan O'brien)のショーで着たのと同じものだと思います)を着て、私たちのほうを見て言ったのは、「スティーブ(Steve)、キーリー・スミスというのなら、ファーストクラスでないとだめよ!」です。私たちの仕事がそうなっていないということなのです。何がよいか、よくないかは主観によることですが、そのときテーブルには、ファンクラブの、キーリーも認める会報誌「Keely's Kews(キーリー・キューズ)」、すてきな、「手作り」のニューズレター、の編集長もいたのです。いろいろなことがありますが、最初のときから「ファーストクラス」とは思いもしないことでした。このことから分かったのは、キーリーは自分も含めて(音楽については別にして)誰のことも本当には信頼していない、だから何事も完成しないのだ、ということでした。 私たちは、トニー・ベネット(Tony Bennett)やローズマリー・クルーニー(Rosemary Clooney)が、ポピュラー文化の中でキーリーのあるべき姿と考えています。トニーやロージーはより力強いかも知れませんが、でもキーリー・スミスは町の人気者であるはずです。しかし、それは終わりのないツアー、レコーディング、宣伝、そして、何が世の中に受け入れられるのかや、自分に合う場所を見つけることについて、ある種の感覚を持っていることを意味しています。それはありえないことでした。おそらく私たちは夢を見たのかもしれませんが、彼女のスタッフがキーリーを「Donny and Marie talk show(ドニー&マリー・トークショー)」に出演させることがどんなにすごいかを考えてばかりいるとき、私たちが思っていたのは、「ドニー&マリー?彼女は「Tonight Show(トゥナイト・ショー)」のレギュラーにもなれる。彼女はキーリー・スミスだよ!」です。 私たちとキーリー・スミスとそのチームとの間のフラストレーションは自己中心的なことで終わりました。私たちはもっと商品が欲しいのです。しかし、もしも彼女がツアーが好きでなく、家族と過ごすのが好きだとしても、誰が彼女を責められるでしょう?もしも彼女の内なる声が彼女に、彼女のパフォーマとしての価値がその過去の実績にあり、新しい経歴を作り上げるためにはしなければならないことが多すぎると、そう言うとしたらそれはその通りです。 しかし、彼女のあの声があるのです。私たちが示されたサイトでの仕事を進めている途中に、彼女は私たちを呼んで、ある演奏会の前に、フルオーケストラとのリハーサルを見て、そして、打ち合わせをしようと言ってきました。私たちは前に彼女とラスベガス(Las Vegas)であったことがあります。そのときは、彼女はサム・ビュテラ(Sam Butera)との仕事でひどい目に遭っているときでした。それでその2人は個人的にも、仕事的にも最終的に決別したようなことになったのです。(「私はその女の名前は聞きたくない」とは、ビュテラが作家のランディ・コルドバ(Randy Cordova)に「Arizona Republic(アリゾナ・レパブリック)」誌での婚約後のインタビューで言った言葉です)。私たちは電話で何度か話をしていましたが、私たちが、背の低い、野球帽を被って、ピンクのストレッチ用のレッグウォーマーをして、ベティ・ブープのTシャツを着た女性を紹介されたとき、まだ怖い気持ちがありました。野球帽の下に、あの有名なバング[注:前髪]を見ることができました。それこそキーリー・スミスでした。本人の他に、何人かの家族とマネジャーがいましたが、私たちにとっては、まるで、誰もいないボールルームにキーリーとそのオーケストラだけがいるように思えました。開幕のファンファーレとなる「I Wish You Love(愛してくれたら)」から、もう私たちはうっとりさせられました。それはリハーサルではあったのですが、キーリー・スミスは完全そのものでした。曲のアレンジは最高で、音は完全で、その野球帽の小柄な女性には内から湧き出てきるものがありました。私たちが彼女のマネジャーのほうを向いて、「彼女の声は素晴らしい。30年前の声と同じだ」と言うと、彼女は答えて、「すごいわね?そうなの?」と言いました。実際そうだったのです。彼女はバラードやスウィングする曲、それといくつか、それほど内から湧き出てくるといったものではありませんでしたが新しいネオスィングの曲を歌い、それはすべて素晴らしく、そのボールルームでの時間は私たちにとって当時のハイライトの1つになったものでした。 自分のヒーローと個人的に合うのは危険なものです。キーリーも例外ではありませんでした。でも、フラストレーションはありましたが、私たちのボールルームでのように彼女の歌を聴けたのは、その価値はあったのです。もしも自由にできるお金が何千ドルかそれ以上あったら、私たちは彼女を誘拐して、よいトリオとスタジオに閉じ込め、歌だけ歌ってるように言ったことでしょう。あるいは、ギャップ(Gap)かデービッド・リー・ロス(David Lee Roth)かブライアン・セッツァー(Brian Setzer)に勘定を払わせていたことでしょう。幸いにも、何年も封印されていたシナトラ(Sinatra)へのトライビュートアルバムが今年コンコード・レコード(Concord Record)からリリースされるという噂です。もちろん、それで十分ということはありません。キーリーの歌はいくらでも聴いていたいものです。
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