パティ・ペイジの時代

■ パティ・ペイジ（Patti Page）

■ パツィ・クライン（Patsy Cline）

■ キーリー・スミス（Keely Smith）

■ ダイナ・ワシントン（Dinah Wshington）

■ ローズマリー・クルーニ（Rosemary Clooney）

■ ダイナ・ショア(Dinah Shore)

■ ベット・ミドラー(Bette Midler)

■ ビバリ・シルズ(Beverly Sills)

■ ソフィ・タッカー(Sophie Tucker)

■ タミー・ワイネット(Tammy Wynette)

■ アネット・ハンショー(Annette Hanshaw)

ジャズ評論家、レオナード・フェザ（Leonardo Feather）は彼女のことを「ボップ（BOP）の時代から出たもっとも重要な歌手」と言っています。エラ・フィッツジェラルド（Ella　Fitzgerald）は彼女のことを、世界で「最高の歌う才能」と呼びました。その50年に近い歌手としての経歴の中で、彼女は歌手の中の歌手であり、メル・トーメ（Mel Torme）からアニタ・ベイカー（Anita Baker）までのだれもに影響を与えました。彼女はそのファーストネームを呼ぶだけでその人と分かる音楽界のエリートでした。彼女は、サラ（Sarah）であり、サシー（Sassy）、無敵のサラ・ボーン（Sarah Vaughan）、でした。

1924年にニュージャージ（New Jersey）州、ニューアーク（Newark）で生まれたボーンは最初から音楽に囲まれていました。大工をしていた父親はアマチュアのギタリストであり、ランドリーを仕事にしていた母親は教会のボーカリストでした。小さいころのサラはピアノを7歳から習い、10歳になるまでに、シオン・バプティスト教会（Mount Zion Baptist Church）のオルガニストであり、聖歌隊のソロ歌手でした。彼女が18歳のとき、友達が彼女を、ハーレム(Harlem)のアポロ･シアタ(Appolo　Theater)での、有名な、水曜日の夜のアマチュア・コンテスト（Wednesday Night Amateur Contest）に応募させたのでした。彼女は「ボディ・アンド・ソウル（Body and Soul）」を見事に歌い上げ、優勝しました。その夜の聴衆の中に歌手のビリー・エクスタイン（Billy　Eckstine）がいました。6カ月後には、サラはアール・ハインズ（Earl　Hines）のビッグバンドでエクスタインの横に立っていたのでした。そのバンドには、ジャズの伝説的人物、ディジー・ガレスピー（Dizzy　Gillespie）やチャーリー・パーカー（Charlie　Parker）もいました。

エクスタインがまもなく自分のバンドを持ったとき、ボーンは彼と行動を共にしました。マイルス・デイビス（Miles Davis）やアート・ブレイキー（Art Brakey）などもやがてそのバンドに加わりました。しかしながら、その後1年のうちに、ボーンはソロ歌手として自分を試してみたくなったのでした。1947年までには、彼女は「テンダリー（Tenderly）」でチャートの1位にもなり、その後、1940年代から1950年代にかけて、ジャズのレパートリを広げ、ポップス（pop music）までそこに含むようになりました。結果として、彼女のファンは増え、その恐ろしいまでの才能に人の注意が向けられるようになり、さらに、ブロードウェイ・ミュージカルの曲、「Whatever Lola wants」や「Mr.　Wonderful」などのヒットを重ねたのでした。ジャズの純粋主義者はこの点を問題にしたのですが、ボーンがどのジャンルであれ、ビジネス的に最高の声の持ち主の一人であることは否定できませんでした。

1960年代の終わり頃に、ボーンはジャズに戻り、演奏とレコーディングを続けました。1970年代、1980年代を通して、彼女はオスカー・ピーターソン（Oscar Peterson）、ルイ・ベルソン（Louie　Bellson）、ズート・シムズ（Zoot Sims）、ハービー・ハンコック（Harbie Hancock）、ロン・カーター（Ron Carter）、ドン・シェリー（Don Cherry）、それに、ジェイ・ジェイ・ジョンソン（J.J.Ｊｈｏｎｓｏｎ）などのジャズ有名人とレコードを出しています。彼女のレコーディングの中で、「Ｄｕｋｅ Ellington Song Book（1 and 2）」はこの時期の最良のものとされています。長い間彼女の代表曲は「Misty」でしたが、1970年代の中ごろには、彼女のショーはいつもソンダイム（Sondheim）の「Bring In The Town」で終わるようになりました。1982年、50歳代の終わりになって、ボーンは、そのアルバム「Gershwin　Live」で、ジャズ・ボーカリストとしてのグラミー賞（the　Grammy　for　Best　Jazz Vocalist）を受けたのでした！

彼女は、同世代のペギー・リー（Peggy Lee）、ローズマリ・クルーニ（Rosemary Clooney）、エラ・フィツジェラルド（Ella Fitzgerald）のようには商業的な大成功を収めることなしに、仕事を続けて行きましたが、サラ・ボーンは常に、歌手仲間そしてその聴衆の心の中に特別の地位を保ち続けました。彼女はその60歳台まで、変わらず最高の状態で歌い、熱烈な満員の聴衆のために演奏を続けました。特筆すべきことは、彼女は、他の多くの歌手と違い、その特別の才能を年齢とともに失うということはまったくありませんでした。彼女の何オクターブもの音域、舞い上がる高音、肉感的な低音、うっとりするような音質の、強くコントロールされた、若々しい声の柔軟さ、そのすべてが損なわれることはありませんでした。1990年に、66歳で、サラ・ボーンは亡くなりました。その死のすぐ後に、メル・トーメ（Mel Torme）はサラを見たすべての人の受けた感じを次のように述べています、「彼女は、ポピュラー音楽の歌手の中での、ただ1つの、最良のボーカル装置を持っていた」。

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